MATSUURA SOICHI, Ph.D.

College of Business Administration, Ritsumeikan University

大学院ゼミ | Matsuura Graduate School Seminar

essential reading

2014年度松浦ゼミ募集要項

募集終了
Basic Informaiton

松浦院ゼミの概要

本ページは,立命館大学大学院経営学研究科の博士課程前期課程において,財務会計を専攻する学生が松浦を指導教員として選択する際に役立つ情報を提供することを目的としています。 松浦を指導教員として選択する際には,以下の文章をしっかり理解した上で申し込むようにしてください。

正式な研究指導は2年次より開始することになっていますが,松浦ゼミを志望する学生には,入学直後あるいは1年後期からゼミを開始する予定です。 松浦を指導教員として選択する可能性があるのであれば,なるべく早く松浦まで相談に来て下さい。 もちろん,1年次に松浦ゼミに参加していなかったからといって,2年次からの指導を拒否することは決してありませんが,1年次の学習が不十分(「不十分」については以下を参照)であったり,研究計画の内容が松浦の指導可能範囲外である場合は,指導を引き受けることは出来ません。

松浦は大規模データを統計的に分析する手法を主として用いる会計研究(つまり実証会計研究)に従事しているため, 会計基準解釈論,会計基準の国際間比較,会計基準の歴史といったテーマを希望する学生は,受け入れることができませんのでご注意ください。 もし会計基準解釈論や会計基準の国際間比較,歴史といったテーマを選択するのであれば,本研究科の金森教授や西谷准教授,東准教授のゼミを検討するとよいでしょう。

policy

指導方針

前期課程における指導方針は,所属学生の前期課程修了後の進路によって大きく2通りに分かれます。

  • パターン1:就職(税理士免除含む)
  • パターン2:後期課程・博士課程に進学(他大学受験含む)

なお進路が未定の場合は,とりあえずパターン2に従っておけば,問題ありません。

Contents

update

更新履歴

2013年3月20日
ページ作成
Common Contents

共通事項

  • 実証会計研究(archival based empirical research)の修士論文を執筆する。
  • 大学院に入学する段階で,右の2冊のテキストを通読している。
    • 桜井久勝 『財務会計講義』最新版,中央経済社,(本学経営学部「会計制度論」のテキスト)
    • スコット (2007) 『財務会計の理論と実証』中央経済社 (本学経営学部「財務諸表論」のテキスト)
  • これらのテキストを読んだことがない場合,あるいは内容を十分に理解できていない場合は,学部で提供されている「会計制度論」と「財務諸表論」に出席してください。
text book
基本テキスト基本テキスト
Pattern 1

パターン1:就職・税理士免除

修士論文では,財務会計の実証研究を行うことを求めます。 そのために必要な会計・ファイナンス・統計学・計量経済学の知識を身につけるために,以下の講義に出席し,単位を取得してください。

  • 基幹・展開・研究展開科目
    • 財務会計,会計学研究,経営財務
  • 研究方法科目
    • 統計学1,統計学2,研究方法論,特殊講義(計量経済学入門),特殊講義(統計ソフト),特殊講義(数学)
実証会計研究を行うためには,会計の他にファイナンスと統計学,計量経済学の知識が必須です。 財務データや株価データを扱うため,データ収集やその分析に大きな労力が必要となりますが,コンピューターや統計ソフトウェアの習熟度により,大幅にその労力を削減することができます。

修士論文の執筆を通じて,以下の能力を身につけることを目標とします。

  • 論理的思考力:経済学に基づく論理的思考力
  • 情報処理能力:統計パッケージを利用した大サンプルの統計分析能力
  • 英語読解力:英語論文を読みこなす英語力
  • プレゼン力:自分の考えを他者に伝え,説得する能力

税理士試験の科目免除を目指す場合

経営学研究科で作成する修士論文をもって税理士試験の会計学科目免除を目指す学生は,国税庁のサイト(ここ)を熟読しておいてください。

松浦ゼミでは,税理士試験の科目免除要件として,税理士試験に科目合格するための努力に匹敵する水準の修士論文を要求します。 具体的には,修士論文審査でA評価以上の評価を受けることを要求します。 A評価以上を受けるためには,「明確な問題意識があり,経済的に重要な問題を扱っており,理論的に首尾一貫した展開で,適切な科学的手法を用いてその論理を検証し,説得的な結果を報告し,会計に対するインプリケーションを提示した」修士論文を執筆する必要があります。

Pattern 2

パターン2:博士・後期課程進学

修士論文では,博士論文を構成する研究論文を執筆する基礎を提供するため,先行研究のサーベイを行います。 これは,自分の研究テーマに関連する研究がどこまで明らかにしていて,どこから明らかになっていないのか,を明らかにし,自らの研究の貢献や限界を知るために行われます。 2年間でおおよそ30本〜100本程度の英語論文を読みこなすための基礎知識を習得するために,以下の講義を履修し,すべてAできればA+の成績を取得してください。

  • 基幹・展開・研究展開科目
    • 財務会計,会計学研究,経営財務,ビジネス・エコノミクス
  • 研究方法科目
    • 統計学1,統計学2,研究方法論,特殊講義(経営研究のための数学,特殊講義2(ケーススタディ),特殊講義(計量経済学入門),特殊講義(統計ソフト)
また,(事前に連絡し,許可をもらうことができれば)併せて以下の経済学研究科・経済学部の講義を受講させてもらってください。
  • 経済学研究科:計量経済学Ⅰ・Ⅱ,ミクロ経済理論Ⅰ・Ⅱ
  • 経済学部:組織と制度の経済学,経済戦略論

他大学の大学院への編入を目指す場合

他大学の大学院博士課程後期課程に編入する場合,入試を受ける必要があります。 例えば,以下の大学院に入学しようとする場合,難しい試験にパスする必要があります。

  • 神戸大学経営学研究科
  • 一橋大学商学研究科
希望者がいれば,これらの大学院入試のための対策も併せて行うことも可能です。 もし大阪大学や京都大学,東京大学といった経済学研究科への進学を希望する学生は,経済系の教員にアドバイスをもらってください。

Recommended Books and Papers

推奨図書と論文

実証的会計研究(Positive Accounting Research)の優れたテキストや研究書が数多く出版されています。 一部ですが,以下の著書が必読文献となります。

  • Watts and Zimmerman (1986) 「Positive Accounting Theory」
  • 須田一幸 (2000)「財務会計の機能」白桃書房
  • 首藤昭伸 (2010)「日本企業の利益調整―理論と実証」中央経済社
  • 齋藤静樹編 (2012)「企業会計の基礎概念」中央経済社

古典重要最新基礎概念

これらの研究を理解するためには「方法論(methodology)」を学習する必要があります。 後期課程で研究を進めるためにも,前期課程中に大学院初年次レベルの経済数学,確率論,統計学,計量経済学を学習する必要があります。 以下の2冊は,学部レベルの優れたテキストです。

  • 尾山・安田編 (2013)「改訂版 経済学で出る数学」日本評論社
  • DeGroot and Schervish (2010) "Probability and Statistics" Pearson Education
経済数学確率論

大学院初級レベルのミクロ経済学,ゲーム理論,契約理論,ファイナンス,計量経済学の知識を習得するための推奨テキストです。 おおよそ,以下のテキストを理解することがM1の目標です。

財務会計契約理論ファイナンス計量経済学

さらに,次のテキストが有力大学院で利用されている(経験談)。 修士課程のうちにぜひ挑戦することが望ましい(最後の1冊はおまじない)。

ゲーム理論ミクロ経済学契約理論計量経済学超級ミクロ経済学

また多くの英語論文やテキストを読む必要があるため,英文読解能力は絶対に必要です。 M1前期中に「Journal of Accounting and Economics」の2012年特集号,2010年特集号(?),少し古いけれど2001年特集号などから関心のある論文を探し,全部翻訳してください。 以下の論文な長文であるものが多いため,質問にくれば,適当な長さの良質な論文を紹介します。

2012年特集号(Vol.53, No.1-2)

  • Sheng and Thevenot ``A new measure of earnings forecast uncertainty''
  • Landsman, Maydew, and Thornock "The information content of annual earnings announcements and mandatory adoption of IFRS"
  • Ramalingegowda and Yu "Institutional ownership and conservatism"
  • Yang "Capital market consequences of managers' voluntary disclosure styles "
  • Kim and Skinner "Measuring securities litigation risk"
  • Badertscher, Collins, and Lys "Discretionary accounting choices and the predictive ability of accruals with respect to future cash flows"
  • Thevenot "The factors affecting illegal insider trading in firms with violations of GAAP"
  • Armstrong, Blouin, and Larcker "The incentives for tax planning"
  • Graham, Raedy, and Shackelford "Research in accounting for income taxes"

2010年特集号(Vol.50, No.2-3)

  • Hanlon and Heitzman "A review of tax research"
  • Armstrong, Guay, and Wever "The role of information and financial reporting in corporate governance and debt contracting"
  • Kothari, Ramanna, and Skinner "Implication for GAAP from an analysis of positive research in accounting"
  • Dechow and Schrand "Understanding earnings quality: A review of the proxies, their determinants and their consequences"
  • Richardson, Tuna, and Wysocki "Accounting anomalies and fundamental analysis: A review of recent research advances"

2001年特集号

  • Holthausen and Watts "The relevance of the value-relevance literature for financial accounting standard setting"
  • Kothari "Capital market research in accounting"
  • Fields, Lys, and Vincent "Empirical research on accounting choice"
  • Shackelford and Shevlin "Empirical tax research in accounting"
  • Healy and Palepu "Information asymmetry, corporate disclosure, and the capital market: A review of the empirical disclosure literature"
  • Lambert "Contracting theory and accounting"
  • Verrecchia "Essays on disclosure"
  • Bushman and Smith "Financial accounting information and corporate governance"
OB/OG

松浦ゼミ卒業生の研究テーマと進路

名前テーマ方法進路
湯下内部監査と負債契約実証他大学後期課程進学
中山のれんの資産計上実証シンクタンク
古泉負債の時価評価実証小売
ステラ包括利益実証ブライダル
葉狩負債性引当金制度法学研究科進学
川崎サブプライムローン制度税理士志望
研究開発費の資産計上実証レビュー帰国後就職
キャッシュフロー計算書実証レビュー国内メーカー

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